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建築が生きていく時間

2020.11.16NEW

設計スタッフの神津です。

少し前になりますが、ずっと行きたいと思っていた三重県鳥羽市にある

内藤廣建築設計事務所設計の「海の博物館」へ行ってきました。

そこに建つ建築の力強さと時間の変化を受け入れるような、大らかさのようなものが第一印象でした。

また約30年も前の建物とは思えないほど、古さを感じさせず、

さらに、内藤さんは35歳の時にこの建物の設計に取り掛かっているというのも個人的には驚きでした。


海の博物館は海と親しく付き合ってきた海民の歴史と現在、さらに未来を伝える博物館で

収蔵庫3つ(1989年竣工)、展示棟2つ(1992年竣工)、研究棟1つが敷地内に分棟形式で

建っています。

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展示棟外観

展示棟は集成材のトラス架構による大空間ですが、足元が開放的で外部空間を取り込んだ水平的な広がりと

部分的に2層になっていることで立体的な体験の面白さもありました。

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展示棟内部

収蔵庫は収蔵物の保存の問題からPCポストテンションによる開口のない大空間で、とても力強く、

収蔵してある船の雰囲気とも相まってノスタルジーな時代へタイムスリップしたような感覚でした。

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収蔵庫内部

当時の建築雑誌を見てみると、少ない予算の中で博物館の目的である保存に必要な耐久性を確保するために、

構造・構法・素材の合理化を検証し、いかに経済的に組み合わせるかにほとんどの精力を費やしたとの

ことです。


また、内藤さんが「建築を存在させようとする時間が短ければ短いほど、形の選択肢は限りなく増えていくし、逆に時間を引き延ばしていくと、その幅はどんどん狭くなっていく。おそらく「素形」とは、この選択肢の中で最後に残るもののことだ。空間を過剰に意識すれば、建築の形態は多様化していく。しかし、時間を問題にすれば、形態の選択肢は狭まり、建築の輪郭がはっきりしてくる。」と言っていたのが印象的で私が感じた力強さや空間の豊かさはこれらの過程から生まれてきたものだと知り、とても感慨深かったです。



翌日は伊勢神宮へ参拝に行きました。

20年に一度の式年遷宮を約1300年続けてきた長い歴史を持つ伊勢神宮。

今でも多くの方が訪れる場所です。

式年遷宮によって建築技術や御装束神宝などの調度品を現在に伝えることができ、今でも新しく、いつでも変わらない姿を望むことにより永遠を目指したと考えられているそうです。

建築の長寿命化という言葉が使われるようになって久しいと思いますが、、、

今回訪れた、用途や歴史的背景、建築の時間に対する考え方が異なる2つの建築を通して

建築の形態や構造とその建築が生きていく時間について改めて考えるよい機会となりました。

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